キッズトリエンナーレ2013「my trace 私をなぞって壁画を描く」(愛知芸術文化センター/名古屋)

1日目

 

 「my trace 私をなぞって壁画を描く」は、参加者自身の姿をモチーフに、「私」を見る体験をしながら、みんなで、壁画を制作する、ワークショップです。

 

1日目は、ここに居る私達の身体の輪郭をなぞったり、プロジェクターの光を使ってできた、自身の影をなぞって描いていきます。

2日目は、プロジェクターで投影される映像に映る、自分の姿を「なぞる」ことで壁に絵を描いていきます。

 

2日間で壁画を完成させるまでの間に、「影の私」「映像の中の私」「描かれた私」と、異なる形で現れる「私」を見る体験をします。

そのことから今ここにいて「描いている私」自身を再確認できたらと考えました。

 

また、身体の輪郭や影をなぞってできた線と線のあいだを塗っていくことで、色とりどりの形が現れることや、水拭きを用意して身体の形にあわせながら消していくこと、壊していくことも描くことで、新しい表面、表情が現れてくることなど、私と私の関係性や私と他者、壁面との対話の中から現前してくるものを、体感してもらいました。

 

 

1日目

初めに、私の輪郭線をなぞることをしました。親子や兄弟、お友達同士で輪郭線をなぞっていくことで互いの関係性が見えてきます。また壁面に自分の体をくっつけて形を写しとることで、壁と自身との対話が生まれていきます。

次に、壁面に現れる影をなぞることをしました。壁にプロジェクターで光をあてると、そこにいる人達の影ができます。影は、光原に近づくと大きな像になり、壁に近づくと等身大に近い像になります。この様な影遊びをしながら止まったり、走ったり、家族や友達と、組み合わせ影の形を作りだし、光の中で体を動かして、自分と同じように動く影を、なぞっていきます。

1日目の最後は、自分の輪郭や影を、なぞることで出来た線と、線の間の空間を好きな色で塗っていくことをしました。色をぬることで、さまざまな色面の形が現れます。

2日目

2日目は、「自分の姿を見ること」をしながらなぞっていきます。自分を確認する方法の一つとして、過去を振り返ることがあります。そこで、昨日ここでなぞっていた様子を記録にとった映像を、壁面に映し出し、そこに映る姿をなぞっていきました。ただなぞるのではなく、昨日までの画面を、映像の姿や、自分の影にあわせて、消しながらなぞることもしました。

 

 

 

 

 

自分の影にあわせて消していく。消すことで新しい画が生まれてくる。

今日のリアルタイム映像ではなく、過去の映像を見ること。

「過去」の中にいる自分を見て、なぞっていくことは、何か不思議な感覚です。過去の姿に影響を受けながら新しく、どうなぞるか、と考え、動くことは、その時その時の瞬間的な自分がつくられ、「今、ここにあること」が現れてきます。最後に映像が消えて完成された壁画が、出来上がりました。